~11月9日には本会議を振り返るオンライン報告会を開催~
2024年10月29日(火)から11月1日(金)の期間、日本の自動車メーカーが属する日本自動車工業会と、国立科学博物館などが加盟する全国科学博物館協議会が共同主催し、“オールジャパン”体制で「2024 世界自動車博物館会議 日本大会」が行われ、17カ国から約200名が参加しました。
世界自動車博物館会議運営委員会議長 マイケル・ペン氏
日本大会 実行委員長 布垣直昭氏
本会議は、1989年に第1回会議が英国で行われ、その後2年に1回欧米で開催され、今回17回目で初めてアジア、日本での開催となりました。日本の自動車博物館がホスト館として皆さまをお迎えし、日本車の魅力や日本の自動車文化を世界にアピールするとともに、世界各国の博物館関係者と親交を深める貴重な機会となりました。
10月30日・31日の会場となったトヨタ博物館(愛知県長久手市)では、『温故知新 / Hindsight Insight Evolution』、過去を学び(Hindsight)、知見を深め(Insight)、今後につなげていく(Evolution)をテーマに、8つのディスカッションが行われました。
オープニングで世界自動車博物館会議運営委員会のマイケル・ペン議長は「人間にとってのコミュニケーションの最良の形は対面である。この会議では顔を合わせて話すことができ、同じ経験を共有できるので、言葉を超えて、より多くのネットワークを築きましょう。」と述べ、布垣実行委員長は「日本でのクルマの文化的価値を高めるためにも、この会議がここ日本で行われ、共に議論できることに興奮しています。」と挨拶しました。
2024 世界自動車博物館会議
2024 世界自動車博物館会議
<プログラム>
#1:なぜ、日本で自動車産業が栄えたのか
#2:海外での日本の旧車人気とは
#3:デジタルの活用例、リアルとの使い分け
#4:博物館運営の工夫・悩み
#5:日本の自動車メーカーのヘリテージ活動
#6:クルマが文化になりえた背景
#7:アジアにおける自動車文化形成と自動車博物館の役割
#8:100年前の大変革考察と未来へのメッセージ
#1では、日本自動車殿堂の藤本隆宏氏が「ものづくり」における日本の独自性を他国と比較するなどし、過去の生産とイノベーションの変遷を現在のBEVとSDVへの需要に照らして解説しました。
プログラム#2発表
#2では、イギリスやアメリカの博物館からは、世代の変化と日本のポップカルチャーの影響から、80年代・90年代の「ラッド・エラ」と称される時代の日本車が人気を集めている背景が紹介されました。
#8では、アメリカ、ヨーロッパの自動車史や文化が議論され、100年前の蒸気、電気、ガソリン車の時代が現在の変革と類似していることが示されました。また、自動車は単なる移動手段を超え、社会的、経済的、文化的意義を持つ存在であり、若い世代へのアプローチをどのように図るかが問われました。
各プログラム発表後には、聴講参加者から自館の抱える問題と照らし合わせた質疑応答などがなされました。
会場
また、会議と並行して、屋外では国内自動車メーカー12社とバイクメーカー2社によって合計36台の車両展示と一部走行披露を行いました。さらに、同館の図書室や貴重資料室(非公開)の特別ツアーも開催し、所蔵資料の入手から保存方法についてもご紹介しました。
展示車両
走行披露
貴重資料室
富士モータースポーツミュージアム見学
翌11月1日には、富士モータースポーツフォレスト(静岡県小山町)を訪れ、富士スピードウェイと富士モータースポーツミュージアム等を視察、富士スピードウェイホテルで行われたフェアウェルパーティーで会議のプログラムは終了しました。
世界自動車博物館会議運営委員会 新議長 ウィム・バン・ロイ氏
本会議運営委員会の新議長に就任したウィム・バン・ロイ氏は、最後の挨拶において、「私たちは自動車遺産への愛によって結ばれたグローバルファミリーであり、ここで築いた橋がさらに強く、より結びついたコミュニティにつながると確信しています。これからもお互いに刺激を与え合い、自動車文化を保存するという共通の使命を推進していきましょう。」と締めくくりました。
トヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男氏
パーティーにはトヨタ自動車株式会社の豊田章男会長も登壇し「自動車とモータースポーツの歴史は保存するだけではなく、他のスポーツや芸術と同じくらい刺激的で魅力的にすることが重要です。アジアの自動車文化は欧米に比べるとまだジュニアリーグにいる状態ではありますが、着実に前進しています。クルマへの愛は、どこにいても人々をつなぐものだと信じています。自動車の歴史と喜びを支え、共有するために素晴らしい仕事をしてくださっていることに感謝いたします。」と挨拶しました。
参加者記念撮影
本会議を振り返るオンライン報告会を11月9日(土)に開催いたしますので、ぜひご関心のある方はオンラインもしくは国立科学博物館でのパブリックビューイングにご参加ください。
2024 世界自動車博物館会議 実行委員会
2024 世界自動車博物館会議 スポンサー
関連資料
2024 年世界自動車博物館会議日本大会オンライン報告会 開催要項
1989 年から始まった、自動車を収集・展示する欧米の博物館の Director/Curator が集う World Forum for Motor Museum(世界自動車博物館会議)が、今秋アジアで初めて、日本で開催されます。
今大会のメインテーマは『温故知新 / Hindsight Insight Evolution』で、過去を学び(Hindsight)、 知見を深め(Insight)、今後につなげていく(Evolution)ことを目的としています。この大会を振り返ったオンライン報告会を実施いたしますので、ご関心のある方はぜひ、オンラインあるいは国立科学博物館でのパブリックビューイングにてご参加ください。
1.主 催 世界自動車博物館会議実行委員会、全国科学博物館協議会
2.日 時 令和6年11月9日(土)9:30~12:00(予定)
3.開催形式
オンライン(Zoom)およびパブリックビューイング
※オンラインチャットのみ当日の質問を受け付けます。
4.対 象 どなたでも
(興味関心がある方、全国科学博物館協議会加盟館園、関係各社の皆様)
5.経 費 無料。(パブリックビューイングに参加する場合は、国立科学博物館
常設展示入館料が必要です。)
6.定 員 オンライン300名、パブリックビューイング100名程度
7.申込方法
オンライン:国立科学博物館イベントページより事前申し込み制
パブリックビューイング :申込不要。直接会場 ( 国立科学博物館)へお越し
ください。https://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20241109
8.パブリックビューイング会場へのアクセス
会場: 国立科学博物館 日本館2階講堂
(住所:東京都台東区上野公園 7-20)
※ 常設展示入口からお越しください。
※ 常設展示入館料が必要です。
[交 通] JR「上野駅」公園口より徒歩5分
[会 場]日本館2階 講堂
入館後奥へ進み、「 クラスメソッド シ
アター36〇」近くのエレベータより2階
へお越しください。エレベータ出て右手
にお進みになると講堂がございます。
9.プログラム
令和6年11月9日(土)
09:00 ~オンライン参加入室開始
09:30~09:35 開会の辞
09:35~09:40 挨 拶 全国科学博物館協議会 理事 栗原 祐司
09:40~09:50 会議全体概要報告 2024年世界自動車博物館会議 事務局
09:50~10:25 報告1
・なぜ日本で自動車産業が栄えたのか?
・海外での日本の旧車人気とは
・デジタルの活用例、リアルとの使い分け
・博物館運営の工夫・悩み
10:25~10:40 報告 1に関する質疑
10:40~10:50 休憩
10:50~11:30 報告2
・日本の自動車メーカーのヘリテージ活動
・クルマが文化になりえた背景
・アジアにおける自動車文化形成と自動車博物館の役割
・100 年前の大変革考察と未来へのメッセージ
・次回開催について
11:30~11:40 報告2に関する質疑
11:40~11:50 世界自動車博物館会議後の展望 実行委員長 布垣 直昭
11:50~12:00 閉会の辞
※内容、順番については変更する場合がございます。
2024 年世界自動車博物館会議 実行委員:
本田技研工業株式会社・日産自動車株式会社・マツダ株式会社・株式会社SUBARU
スズキ株式会社・ダイハツ工業株式会社・いすゞ自動車株式会社・三菱自動車工業株式会社
日野自動車株式会社・三菱ふそうトラック・バス株式会社・ヤマハ発動機株式会社
UDトラックス株式会社・川崎重工業株式会社
名古屋市科学館・トヨタ産業技術記念館・国立科学博物館・トヨタ自動車株式会社
以 上
【本件問い合わせ先】
※ 2024年10月から変更になっています
全国科学博物館協議会事務局
国立科学博物館 学習支援部 広報・連携課 連携担当内
担当:中山、斉藤、清水
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
tel 03-5814-9171,9177 / fax 03-5814-9898
Email info@jcsm.jp
鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使
協力(敬称略)
紅山子(こうざんし)
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
アーカイブ リンク記事をご覧ください。
南方熊楠 菌類図譜 ~その整然と混沌~ 国立科学博物舘
南方熊楠渡米前羽山繁太郎贈呈・写真
1888 (明治21)年 21歳 11月 農学校を退学、アナーバーに移り、植物の調査と観察に励む。
南方熊楠(1867~1941)は、自然史や民俗学など幅広い分野で資料を収集した人物で、日本における環境保護運動のきっかけをつくり、「エコロジー」という言葉を広めた人物としても知られています。
熊楠は海外渡航から帰国した1901年以降、多数のきのこ標本を採集し、その標本で数千点の「南方熊楠菌類彩色図譜(以下菌類図譜)」を作成しました。
菌類図譜は、熊楠の半生における行動や指向を知る上で貴重な資料であり、日記や他の資料と相互参照・利用するためにも国立科学博物館においてデジタルアーカイブ化が進められています。
この電子展示では、多数ある菌類図譜の中から代表的なものを紹介し、熊楠が試みたきのこの多様性の理解を紹介します。
(詳細は下記のURLよりご覧ください。)
ZIPANG-5 TOKIO 2020「南方熊楠 菌類図譜 ~その整然と混沌~」電子展示【国立科学博物舘】
https://tokyo2020-5.themedia.jp/posts/19728776
国指定重要文化財「国立科学博物館」
国指定重要文化財「国立科学博物館」空撮
日本館は、1931(昭和6)年に竣工した、ネオ・ルネサンス様式を基調とした重厚な建物で、2008(平成20)年には国の重要文化財に指定されました。建物を上空から見ると、当時最先端の科学技術の象徴であった飛行機の形をしています。
(詳細は下記のURLよりご覧ください。)
ZIPANG-4 TOKIO 2020 企画展~物理はふしぎで美しい~磁石と水からひろがる相転移の世界を【国立科学博物館】にて開催!
https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7623523
一生に一度しか咲かない花!
国立科学博物館 筑波実験植物園
国立科学博物館 筑波実験植物園(園長 樋口正信氏)では、アガベ・サルミアナ・フェロクスが開花しました。34年間の時を経て今回が初めての開花です。見頃は2020年6月末頃までと予想しています。
(詳細は下記のURLよりご覧ください。)
ZIPANG-4 TOKIO 2020 一生に一度しか咲かない花! 高さ6.65mの巨大な草、アガベ・サルミアナ・フェロクスが開花!【国立科学博物館 筑波実験植物園】
https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/8563345
~想い出~
インダストリアルデザイナー
栄久庵憲司氏を訪ねて
確か、昭和61年5月頃だったと思います・・・なにせ、30数年前の事なので記憶が多少朧気です…
日本の産業の高度な工業化を先頭に立ってリードしてきた国際的インダストリアルデザイナー栄久庵憲司氏が代表を務めるGKインダストリアルデザイン研究所を訪ね、「モノが美しく機能的に働くことの出来るような、モノ周辺の環境—都市、街並み、家庭、それらを快適にイキイキとした姿に保とうとする人の心の在り方」などについて、その独創的な視点から語っていただきました。
栄久庵憲司 デザイン ヤマハバイク他多数
その時の内容について、ほんの一部分になりますがご紹介いたします。
🦇ルイジ・コラー二の「デザインを突き詰めていくと究極、生物に近づく」という有名な言葉がありますが、栄久庵さんがお考えになられるデザインについてお聞かせください。
栄久庵健司氏「デザインというのはやはり、人間が介在したものでなければなりませんね。神と共に神の力を借りて創ることは有りますが」(笑)。
ともかく人間の介在によって人間にとってひとつのテンション、つまり頭の喜びのつくり方を考えなくては。人それぞれ違う物ではありますが、はっきりと言えることは、「デザインは複数に対して喜びを持つ」という事です。
ですから、つくった時から自分のものでなくなってしまうという所があります・・・生産し終わると自分の産んだ子は必ず離れて行ってしまう運命にある、という事です。
誰かの家で使われるようになれば、それはもう使っている人たちの物なんです。
先日、名古屋市長とお会いした時にも同じような質問をされました。そこで考えた末、私は「デザインとは熱田神宮のようなものです。」とお答えしました。(栄久庵氏は戦後、京都で浄土宗の僧侶をされて居られました。)
まず、神様を考える。そうすると神様をお祝いする祭りが必要となり、眼に見えるものとして神社や神輿なども必要となってくる。このような仕組みをデザイン、といいます。
熱田神宮はデザインのかたまりなんですよ。神社のデザインをする、という場合には建物だけのデザインでなく、それに関わってくる色々なものを考えなくては…
例えばひとつのコスモス(小宇宙)を創るというつもりで・・・
本日は、これにて終了といたしますが、いつか機会がありましたらこの続きを・・・合掌
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