ZIPANG-10 TOKIO 2020日本の食文化 ごまのチカラ&対馬の発酵文化【農林水産省】

日本の食文化 ごまの歴史

ごまの原産地は熱帯アフリカ。数千年前、アフリカからごまは世界に広がっていきました。日本には中国から伝えられたとされ、奈良時代にはすでに重要な作物としてごまが栽培されていたようです。


刺身用ごま(ごまの蔵)                       編集局イメージ


瑞々しい新鮮な刺身に乾いたごまの風味と香ばしさが見事にからみます。
濃厚な醤油胡麻とツーンと爽やかなわさび味の胡麻が、刺身の味を損なうことなく料理の格を一段上げることができます。


ごまのパワー

小粒なボディに、優れた栄養素をバランスよく閉じ込めている。


ごまは「食べる丸薬」と言われるくらいすぐれた栄養食品。そのごまの栄養についてちょっと見てみましょう。


まず、最近注目されているのが、ごまにしか存在しない成分「ゴマリグナン」。抗酸化作用をもち、がんや生活習慣病の予防に効果的なほか、肝機能を高め、アルコールから肝臓を守る働きがあるとされています。


ごまの成分の半分を占める脂質は、ほとんどが「不飽和脂肪酸」。コレステロール値を下げ、善玉コレスレロール増やしてくれるとされる脂肪酸ですが酸化しやすいのが欠点。ところがごまには抗酸化物質が多く含まれているため、他の不飽和脂肪酸よりも酸化しにくくなっています。「ビタミンE」はごまの抗酸化性を高める重要な成分。先のゴマリグナンと一体になって強力な働きをします。


ごまの成分で脂質の次に多いのが「たんぱく質」で20%ほどを占めます。良質のたんぱく質で構成されているのが特徴で、必須アミノ酸が8種類。そのうち5種類は大豆よりも含有量が高いとされています。
カルシウム、マグネシウム、鉄など、体に重要なミネラルも、ごまには多く含まれています。


ごまの色

色が異なると、香味もわずかに変化する。


ごまは種子の外皮の色によって、白・黒・金の大きく3種類に分けられますが、世界には色や形、大きさなどさまざまなごまがあり、その数約3000種といわれています。白・黒・金の色別で、成分にそれほど大きな違いはありませんが、料理や調理法の向き・不向きはあります。


白ごま

マイルドな風味でクセがなく、もっともポプュラーなごま。



温帯や亜熱帯地域で栽培され、アフリカや東南アジアなど、世界各地で生産されている。黒ごまと比べると脂質が若干多く、ごま油の原料としても使われている。日本での生産量も白ごまが1位。西日本では白ごまが好まれている。


黒ごま

香りが強いので料理のアクセントに。黒いパワーに注目。




お赤飯に白ごまでは物足りなさを感じるかも。小粒ながらその香りに強い存在感をもっているのが黒ごまの特徴。白ごまのように世界中で生産されているわけではなく、中国や東南アジアがおもな産地。種皮の黒い色にはブルーベリーと同じ、アントシアニンという色素が含まれている。種皮の割合が多く、そのぶんカルシウムなどが多く含まれているとされるが、皮がかたいので、すっていただくのが一般的。


金ごま

黄金色をした希少なごま。脂質が高く、香り高いのが特徴。




「黄ごま」「茶ごま」などと呼ばれることもある。白や黒と比べると脂質が高く、コクのある味わい。香りも他より抜きでて高く、そのぶん値段も高価。懐石料理などで使われてきた。トルコ産が有名だが、近年では日本国内での栽培も増えている。


ごまの加工品

ごまは形態を変えることで、おいしく、たくさん食べられる。


ねりごま




ごまをすり続けると油分がでてきて、やがてなめらかなペースト状になる。これがねりごま。いりごまやすりごまよりもたくさんのごまが食べられ、消化吸収もよい。ごま豆腐やごまだれなどに使われる。担々麺などに使われる中華料理の調味料「芝麻醤(チーマージャン)」もねりごま。


すりごま




いったごまをすり鉢などですり、ごまの香りをだしたもの。「する」ことで消化吸収もよくなる。また、表面積が大きくなり、香りの成分の揮発や酸化が起こりやすくなる。時間がたつにつれて風味が劣化するので、自分でする場合は一度に使い切る量を。市販のすりごまはなるべく早く使い切るようにしたい。


ごま油




ごまをそのまま圧搾したものがごま油。多くのビタミンやミネラルを含み、酸化しにくい性質をもつことから、古くから世界中で作られている。ごま油には、ごまを焙煎してから搾った「焙煎油」と、焙煎せずに生のまま搾った「純白(太白)油」がある。前者はふだんよく目にする茶褐色をした香ばしい香りがするごま油で、後者は無色に近い淡黄色。香りもそれほど強くない。



余滴 ごま雑学

*ごまは99.9%が輸入

国内に流通しているごまのほとんどが輸入品。おもな産地としては、トルコ、エジプト、中国、ミャンマー、ペルーなど、約30カ国。国内では、鹿児島県がもっとも生産量が多い。機械化できる部分が少なく、手間がかかるため、国内での生産増はなかなか難しいのが現状。


*ごまの選び方

小粒なごまにも善し悪しはある。ごまの色と形は整っているほうがよい。これは栽培地で品種が統一されているかどうかを見るポイントにもなる。粒ぞろいが悪いごまは雑味や苦みが出やすいこともある。いりごまを選ぶときには、できるだけふっくらとして丸みの帯びたものがよい。


*ごまの保存法

抗酸化物質が多く含まれているごまは、酸化しにくい食材ではあるが、新鮮なものほど香りはよい。密封できる袋や瓶などに詰め替えて、湿気がなく涼しい場所に保存しておく。冷凍庫で保存しておくといつまでも香りのよいごまが味わえる。すりごまにした場合はできるだけ早く使うこと。


*ごまと相性が良い食材

ごまはいろいろな食材と一緒に食べることで、栄養を補足する効果が期待できる。たとえば、ごまと大豆を一緒に食べると良質のたんぱく質を摂取することができる。それぞれに含まれる必須アミノ酸のうち、互いに不足しているアミノ酸を補足しあい、栄養価値が高まるため。


*アーユルヴェーダにごま油


                                  編集局イメージ


インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、ごま油をオイルマッサージなどに用いる。体を温める作用があり、乾燥した肌に潤いを与えたり、発汗作用などがあるとされる。脳のマッサージとも呼ばれる、額にオイルを垂らす施術「シロダーラ」で用いられているのもごま油。


続く・・・



鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使


協力(敬称略)

農林水産省 〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1 電話:03-3502-8111(代表)

株式会社セサミライフ(ごまの蔵)
〒509-0144 岐阜県各務原市鵜沼大伊木町3丁目2番地 電話:058-379-6508

紅山子(こうざんし)


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アーカイブ リンク記事をご覧ください。


対馬の発酵文化とは


「国境の島」対馬の食文化

対馬(つしま)は、九州と韓国の間の対馬海峡に浮かぶ島で、長崎県に属している。博多港(はかたこう。福岡県)までは航路で132キロ、韓国までは直線距離で49.5キロに位置し、「国境の島」と呼ばれている。


自然と食

対馬は山地が多く、陸上交通が不便であったため、島への伝来物が何百年もそのまま保存されている場合があり、その代表が対州そば。そばは縄文後期に日本に移入されたと考えられ、全国的に品種改良が進みましたが、対馬では縄文後期の原種そばを今でも味わうことができる。


また、昔ながらの養蜂法が今も行われており、濃厚で香り高い和蜂のハチミツを楽しむことができる。山が深く、四方を海に囲まれている対馬は、自然が生み出す本物の食材に出逢うことができる島でもある。


対馬の発酵文化
郷土料理「ろくべえ」



ろくべえは、サツマイモの澱粉でつくった対馬独自の麺料理。
サツマイモは江戸時代に薩摩藩から導入され、岩がちで平地が少ない対馬の痩せ地にも適応できる優れた植物でしたが、傷みやすく、保存の難しさが問題となっていた。


やがて、サツマイモを水に漬けて発酵させるなど、複雑な工程を経て澱粉(「セン」と呼ばれる)を取り出す方法が考案され、長期保存が可能になった。


食べる際には、乾燥して団子状になったセンをぬるま湯で戻し、沸騰した鍋の上で、穴の空いた鉄板から押し出して麺状にするとプルプルした食感が楽しめる、対馬の風土が生み出した素朴でヘルシーな郷土料理である。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG TOKIO 2020「日本の食文化と新たなJAS制度説明会の開催」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3734174



御食国 淡路島の食文化

古代から継承する日本伝統のおもてなしの極意とは(特別編)


京都御所正門 建礼門 天皇陛下のご通行のほか外国元首などの国賓来訪のときに開かれる。


「天地創造『国生みの島・淡路』 第三話 」をご紹介する前に、

先に一般社団法人 淡路島観光協会様にご協力いただき、
御食国として知られる豊かな食の宝庫「淡路島」の食文化を【特別編】として
ご紹介いたします。


淡路島は古くより天皇家とも縁が深く、朝廷に数々の食材を献上してきた「御食国」としても知られています。


本号では『国生みの島・淡路』と密接に関係する畜産から野菜・水産など、食材の宝庫である淡路島の食文化をご紹介いたしましょう。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG TOKIO 2020「御食国 淡路島の食文化 古代から継承する日本伝統のおもてなしの極意とは(特別編)」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3123000



※現在、2500件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。


ZIPANG-10 TOKIO 2020 (VOL-10)
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ZIPANG-9 TOKIO 2020 (VOL-9)
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ZIPANG-7 TOKIO 2020 (VOL-7)
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ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
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ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
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ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
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ZIPANG-2 TOKIO 2020(VOL-2)
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ZIPANG TOKIO 2020 (VOL-1)
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ZIPANG-10 TOKIO 2020

日本の精神文化と国土の美しさについて再発見 その1. 全世界との情報の共有化 その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重! その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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