ZIPANG-10 TOKIO 2020 「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録(代表一覧表記載)~日本酒や本格焼酎など~


南米パラグアイで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会は4日(日本時間5日)、「伝統的酒造り(日本酒や本格焼酎など)」を無形文化遺産に登録した。


石川県 能登 杜氏による酒造り                  編集局イメージ


ユネスコ無形文化遺産保護条約第19回政府間委員会において、我が国より提案した「伝統的酒造り」の代表一覧表記載に関する審議が行われ、12月4日(水)15時43分(日本時間12月5日(木)3時43分)、「記載」との決議がなされましたので、石破内閣総理大臣メッセージ、あべ文部科学大臣談話と併せて、お知らせいたします。


   「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録に当たっての

         内閣総理大臣 石破 茂 メッセージ


           内閣総理大臣 石破 茂     Ⓒ内閣府


我が国の「伝統的酒造り」が,このたびユネスコ無形文化遺産に登録されたことを,心から嬉しく思います。「伝統的酒造り」の保護・継承に尽力してこられた多くの関係者の方々に,心からのお祝いを申し上げます。


「伝統的酒造り」は,杜氏・蔵人等が,こうじ菌を用い,日本各地の気候風土に合わせて,

経験に基づき築き上げてきた,世界に誇れる酒造り技術です。


日本各地で人から人へと受け継がれてきたこの伝統的な技術を守り,次の世代へ継承すると

ともに,今回の登録を契機に,国内のみならず海外の方にも「伝統的酒造り」を知っていた

だき,地方創生や海外への更なる展開にもつながるよう,関係者の方々の取組を支援してい

きたいと思います。

                                令和6年12月5日

                               内閣総理大臣 石破 茂



                 「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録

       (代表一覧表記載)に当たってのあべ 文部科学大臣 談話


           文部科学大臣 あべ俊子    Ⓒ内閣府


「伝統的酒造り」が,ユネスコ無形文化遺産に登録されたことは大変喜ばしく,

各地で「伝統的酒造り」の保護・継承に取り組んでこられた関係の皆様に心よりお祝い申し

上げます。


「伝統的酒造り」は,伝統的なこうじ菌を用いて,杜氏・蔵人等が経験に基づき築き上げて

きた酒造り技術であり,日本各地の自然の特徴や気候風土を反映する形で発展を遂げてきた

我が国の大切な文化です。


この登録を契機として,「伝統的酒造り」が,各地域で次世代に着実に継承されるととも

に,地域活性化や海外での認知度向上に寄与することが期待されます。

文部科学省としては,この技術が,今後も受け継がれるよう取り組んでまいります。



1.政府間委員会の審議結果

○「伝統的酒造り」について、「記載」の決議がなされた。


(参考)決議の3区分

・①「記載(Inscribe)」:記載するもの。

・②「情報照会(Refer)」:締約国に追加情報を求めるもの。

・③「不記載(Not to inscribe)」:記載にふさわしくないもの。


2.これまでの経緯

令和5年 3月 「伝統的酒造り」を提案。

令和6年11月4日(日本時間11月5日) 評価機関より「記載」の勧告。

令和6年12月4日(日本時間12月5日) 第19回政府間委員会において「記載」の決議。


決議全文

                                                                                                       ※文化庁仮訳

委員会は、


1.

日本が「伝統的酒造り」(第 01977 号)を人類の無形文化遺産の代表的な一覧表への記載に向けて提案したことに留意する。


酒は穀物と水から作られるアルコール飲料で、日本文化に深く根付いている。職人は麹菌を使って原料のデンプンを糖に変える。職人は麹菌が最適な条件で生育するよう工程を監督し、必要に応じて温度と湿度を調整する。彼らの仕事が酒の品質を決定する。


神々からの神聖な贈り物とみなされている酒は、祭り、結婚式、通過儀礼、その他の社会的・ 文化的行事に欠かせないものである。今日では大量生産されているが、職人は伝統的な方法で酒を作り続けている。


「 杜氏」と呼ばれる酒造りのリーダーが 、「 蔵人」と呼ばれる酒の作り手を率いて実践と伝承を行っている。もともと、酒造りは女性だけで行われていた。需要の増加に伴い、男性もその過程に関わるようになった。今日では、性別を問わず誰もが知識と技術を習得できる。


酒造りは徒弟制度を通じて継承されている。地域の組合も酒蔵を支援しており、職人によって設立された2つの全国組織が、日本政府の財政的及び技術的支援を受けて、酒造りの体系的な伝承に貢献している。


酒造りには多くの人手と強いチームワークが必要なため、酒造りは職人間の社会的つながりを促進する。また、原料を供給する農家を含む地域住民とのつながりを強め、社会的結束に貢献する。


2.

提案書に含まれる情報をもとに、提案が、人類の無形文化遺産の代表的な一覧表への記載のための以下の基準を満たしていると考える。


R.1: 「伝統的酒造り」は、日本における麹菌を使った伝統的な酒造りの知識と技術である。


本件の実践者および担い手は、麹菌を使った酒造りの知識と技術を習得した職人と、主なコミュニティを代表し、その伝承に責任を持つ 2 つの重要な組織である。


酒造りの知識と技術は、個人、地域、国の3つのレベルで伝承されている。伝統的な伝承方法には徒弟制度が含まれるが、多くの地域組合と 2 つの全国組織も、さまざまなプログラムや取組を通じて伝承を支援している。


本件は、職人と関係するコミュニティとの間の強い社会的つながりと結束を促進する。
本件はコミュニティにとって強い文化的意味を持ち、酒は日本の祭り、結婚式、通過儀礼、その他多くの社会的 ・ 文化的行事に欠かせないものである。


R.2: 「伝統的酒造り」は、食糧安全保障、気候変動を含む環境の持続可能性、持続可能な消費と生産、平和と社会的結束に貢献する。 本件は、酒造りに不可欠である清らかな水と米や大麦などの穀物を保護することで、食糧安全保障と環境の持続可能性に貢献する。


コミュニティも、酒蔵周辺の持続可能な食糧生産と環境保護に取り組んでいる。
ジェンダー平等の点では、20 世紀以降、酒造りはすべての性別に開かれている。


酒造りは、職人とコミュニティを結びつけることで、平和と社会的結束を促進する。
また、効率的な資源利用とリサイクルを通じて廃棄物を最小限に抑え、持続可能な消費と
生産を促進する。


R.3: 徒弟制度以外の様々な保護措置は、地域コミュニティ自身によって計画され、体系的に実施されている。職人は、自分の蔵で作業の記録や文書を保管している。地域組合は、地元の蔵に対し、講習会を開催したり、技術顧問を派遣したりしている。


さらに、「日本酒造杜氏連合会」と 「 日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」は、伝統的酒造りの伝承のための条件の改善に取り組んでいる。


政府が講じた保護措置には、作り手の技術研鑽のための新酒鑑評会の開催、地域社会への伝承活動への補助金の交付、酒造り職人の資格検定制度の創設、酒用の麹菌と酵母の培養の開発などがある。


「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」は、保護措置の進捗状況とその結果に関する情報収集を行っている。協会はまた、記載による意図しない結果を監視する責任も負う。


R.4: 職人たちは文化庁が実施した全国調査に参加し、保護措置に関する情報収集が行われた。関係コミュニティは提案にあたり、自由意志に基づき、事前の十分な説明を受けた上で同意した。また、提案書の作成のための資料を提供し、全面的に協力した。


R.5: 「伝統的酒造り」は、2021年12月に日本の無形文化遺産の目録に掲載された。この目録は、日本政府である文化庁によって管理されている。


目録作成プロセスに関する情報は、提出された2016年の定期報告書に含まれている。
各無形文化遺産に関係するコミュニティは、目録作成プロセス中にそれぞれの案件に関する情報を提供する。コミュニティは、目録の年次更新に当たり、伝承状況などの最新情報も提供する。


3.

「伝統的酒造り」を人類の無形文化遺産の代表的な一覧表に記載することを決定する。


4.

日本が、案件に関係する文化的実践について詳細かつ視覚的に紹介する良質のビデオを提出したことを称賛する。 


「伝統的酒造り」提案概要


1.名 称

伝統的酒造り

2.対 象

杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)等が、こうじ菌を用い、日本各地の気候風土に合わせて、経験に基づき築き上げてきた、伝統的な酒造り技術(日本酒、焼酎、泡盛等)。


3.技術の担い手

・日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会

・日本酒造杜氏組合連合会


水分調整                  こうじ造り 



鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使


協力(敬称略)

紅山子(こうざんし)


※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。



アーカイブ リンク記事をご覧ください。


氷点下15度の温もり 飛騨の酒 ❝ 蓬莱 ❞「蔵元の隠し酒」とは!?


飛騨市「渡辺酒造店」-その歴史を探る

享保17年(1732)に渡邉家の初代久右衛門が当地で「荒城屋」と称して業を起こし、2代目久右衛門は両替業を始めると共に生糸を製造して京都に販売し、産を成しました。


飛騨の匠の技が冴える紅殻格子の「渡辺酒造」の佇まい。軒下中央には、「蓬莱」の看板と酒造りの神様が宿る「杉玉」が…。七夕には笹の葉がサラサラと軒端に揺れているのかな…


渡邉家が酒造りを始めたのは明治3年(1870)、5代目久右衛門章でした。 生糸の商いで京都に旅した折に口にした酒の旨さが忘れられず、自ら居するこの地に酒蔵を構え、旨い酒をとの一心で酒造りを始めました。


出来あがった酒は至極好評となり、酒を愛でる宴で謡曲を謡いながら、えもいわれぬ、珠玉のしずくに酔ったと記されています。


その時、謡曲「鶴亀」で謡われた「蓬莱」を銘柄として選びました。


「蓬莱」は仙人が住むと云われる不老長寿の桃源郷・・・そして、「蓬莱」は人に慶びを与え、開運をもたらす縁起のよい「酒ことば」です。 明治・大正・昭和と、全国の銘醸地を訪れ酒造技術の習得に努め、美酒醸造の努力を惜しまず、品質至上主義を貫き数々の品評会で上位入賞。


若山牧水をはじめ飛騨を訪れる文人墨客に愛飲され、その名は次第に酒通の知るところとなりました。 飛騨を代表する美酒として高い評価を受け、地域風土に根差し、四季折々の食材と共に生活の慶びの一献として、永きにわたり地元の人々に愛し続けられています。


それぞれの酒蔵には追い求めるものがあります。それはどうしても捨てられない酒蔵の魂というべきもの。蓬莱が追い求めるものは 


「米のいのちを生かすよう、真っ直ぐに醸す、心や人間性の酒造り」。


伝統と手造りを重視し、古い木の道具を使い、じかに感じる香りや手触りを大切にしています。


現在、9代目・渡邉久憲氏は杜氏・北場広治氏の協力を得て、創業以来受け継がれた飛騨厳冬寒造りを開花させ、今まさに酒造り150年目を迎え、技術研鑚、人材育成、伝統文化の伝承に余念がありません。


飛騨路を北へ。

詩情豊かにたたずむ町❝飛騨古川❞

蓬莱の酒造はあります。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-4 TOKIO 2020 氷点下15度の温もり 飛騨の酒 ❝ 蓬莱 ❞「蔵元の隠し酒」とは!?

https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7745544



~自慢の地酒を呑み比べ!~
飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり


初夏の古い町並を散策しながら造り酒屋巡り


お酒のいろいろ


 吟醸酒(ぎんじょうしゅ)

米を磨いて低温でじっくり醸造するいわゆる吟醸造りをした酒。最大の特徴は、吟醸香と呼ばれる繊細でフルーティーな香り。吟醸香の高いものは、温めると香を損なうので普通は燗酒では飲まない。


純米酒(じゅんまいしゅ)

米と米麹だけで造る酒。ふくよかな旨味のある酒が多い。味がしっかりしているので、お燗から冷や、オンザロック、お湯割りなどいろいろ楽しめる。


本醸造酒(ほんじょうぞう)

いろいろなタイプがある。もろみを搾る前に少量のアルコールを加えて適度に味を調整しているのでお燗で軽快に飲めるものが多い。


生酒(なましゅ・なまざけ)

清酒はふつう出荷までに2回加熱殺菌(火入)をするが、この火入れを一度もしていない酒を生酒という。一般的に熱をかけていない分フレッシュな香味の酒である。冷やして飲むのがよい。


原酒(げんしゅ)

搾ってから水を加えていない酒。加水していない為、アルコール分が高く味が濃いものが多い。お湯や水で好みの濃さに割って美味しく飲める。


古酒(こしゅ)

前の年度か、さらに以前にできた酒をこう呼ぶ。熟成香となめらかな味わいが特長になる。


新酒(しんしゅ)

その年に造った酒のこと。フレッシュな味や香りが楽しめる。


おり酒(おりざけ)

にごり酒に似ていますが、製法が違う。醪を目の細かい布で、ていねいにこしても、どうしても微細な麹と酵母などが混ざり、タンクの底に沈殿します。これを集めて、白く濁ったままにしておいたのがおり酒。


にごり酒(にごりざけ)

醪を目の粗い布でこしただけの白く濁っている白濁酒。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-6 TOKIO 2020 ~自慢の地酒を呑み比べ!~ 「第3回 飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」6/10~7/3開催

https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/34669342/



大神神社 醸造安全祈願祭(酒まつり)

日本書紀の崇神天皇条
『この神酒は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸みし神酒 幾久 幾久』

酒造りの神様と仰がれるご祭神の神徳を称えて、新酒の醸造の安全を祈る祭典で、全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列します。祭典後から醸造安全の赤い御幣と酒屋のシンボル「しるしの杉玉」が全国の酒造家・醸造元に授与されます。

祭典では活日命の和歌で作られた神楽「うま酒みわの舞」が四人の巫女により舞われます。また、祭典にあわせて拝殿と祈祷殿に取り付けられている直径約1.5m、重さ約200kgもある「大杉玉」が青々としたものに掛け替えられます。


日本酒の歴史

三輪山の神語り

高橋活日(たかはしのいくひ)美酒を醸す


大神神社 三輪山の神語り


大物主大神(おおものぬしのおおかみ)を厚く敬った崇神(すじん)天皇は神に捧げる御酒を造るために、高橋邑の活日(いくひ)を掌酒(さかひと)に任じました。


活日(いくひ)は酒造りの杜氏(とうじ)の祖先にあたります。
そして活日(いくひ)は一夜にして美酒を醸かもしたと伝わります。
崇神(すじん)天皇8年冬12月卯の日に大神への祭りが行われた後の酒宴で
活日(いくひ)は御酒を天皇に捧げて次の歌を詠みました。


『この神酒は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸みし神酒 幾久 幾久』


(この神酒はわたしが造った神酒ではありません。倭の国をお造りになった大物主大神が醸されたお酒です。幾世までも久しく栄えませ、栄えませ。)


崇神(すじん)天皇と群臣(ぐんしん)は夜もすがら酒を酌み交わし、祭りの宴を楽しみました。この故実によりご祭神は酒造りの神として敬われるようになったとされます。
三輪の地は美酒を産み出す酒どころとして人々によく知られていたのでしょう。


三輪の枕詞は味酒(うまさけ)で、額田王(ぬかたのおおきみ)の歌をはじめ
「味酒(うまさけ)の三輪」は万葉集にも詠まれました。


大物主大神(おおものぬしのおおかみ)は酒の神、三輪といえば美味なる酒を古代の人々は想起したのでしょう。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-4 TOKIO 2020  國酒 「量より質の時代!? 日本酒の輸出総額が10 年連続で最高記録を更新中!」

https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7712323



※現在、2500件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。


ZIPANG-10 TOKIO 2020 (VOL-10)
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ZIPANG-9 TOKIO 2020 (VOL-9)
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ZIPANG-7 TOKIO 2020 (VOL-7)
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ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
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ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
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ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
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ZIPANG TOKIO 2020 (VOL-1)
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ZIPANG-10 TOKIO 2020

日本の精神文化と国土の美しさについて再発見 その1. 全世界との情報の共有化 その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重! その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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